いざというときも、審査なしですぐにお金を借りられるキャッシングやカードローン。危険なイメージを持つ人もいるかもしれませんが、賢く使えばメリットの大きいサービスです。今回は、キャッシングとカードローンの違いを分かりやすく解説します。
キャッシングとカードローンは違う?
キャッシングとカードローンについて、どちらも「手軽にお金を借りられる」というイメージを持つ人は多いでしょう。実は2つのサービスには、違いがあります。
キャッシングとは、クレジットカードを使ってお金を借りられるサービスのことです。キャッシングはもともとキャッシング機能といわれ、クレジットカードの機能の1つです。クレジットカードを作成する際にキャッシング機能にチェックをつければ、キャッシング機能が付帯されます。
一方カードローンとは、金融機関やカード会社、消費者金融から個人が簡単にお金を借りられるサービスのことです。クレジットカードを持っていなくても、カードローンに申し込むことができます。
通常、お金を借りようと思えば、借り入れ目的を明示したうえで事前審査を受けなければなりません。住宅ローンや事業用の融資などを思い浮かべると分かりやすいでしょう。審査期間は1ヵ月以上かかることがほとんどで、一度にまとまった金額を借り入れたあと、計画的に返済していくことになります。
一方、キャッシングやカードローンだと、一度申し込みをすれば、「好きなときに好きな金額だけ」借りることができます。そのため、給料日前で生活費を補充したいとき、冠婚葬祭が重なったときなど、さまざまなタイミングで活用できるでしょう。
続いて、キャッシングとカードローンの違いを、3つの観点から見ていきましょう。

キャッシングとカードローンの違い1.金利
キャッシングとカードローンを比較すると、キャッシングのほうが金利は高くなる傾向があります。キャッシングの金利は、年10%から18%程度です。最低金利が15%に設定されているカード会社も多くあります。
一方カードローンの金利を見ると、銀行系カードローンなら年2%から15%程度、消費者金融系カードローンでも年3%から18%程度です。
仮に8万円を借りて1ヵ月後に返済した場合の、キャッシングとカードローンの利息を比較してみましょう。
<キャッシングで金利15%の場合>
8万円×15%÷365日×30日=約986円
※毎月返済の場合、返済期間が長くなることで、さらに利息が増える可能性があります。
<カードローンで金利3%の場合>
8万円×3%÷365日×30日=約197円
こうして見ると、金利の影響の大きさが分かります。
キャッシングやカードローンの金利は、借り入れ上限にあたる「極度額」によって変わります。極度額が上がるほど、低い金利が適用されます。極度額は、年収をはじめとした利用者の条件で決まります。
カードローンというと金利が高いイメージを持つ人も多いですが、条件によってはそこまで高い金利は適用されない可能性もあります。キャッシングを利用していて、金利の高さが気になっているなら、カードローンに切り替えてみるのも1つです。
キャッシングとカードローンの違い2.借入限度額
キャッシングとカードローンでは、借入限度額にも違いがあります。
キャッシングの借入限度額は、10万円から100万円程度です。一方カードローンでは、500万円から800万円までというように、キャッシングよりも高い借入限度額が設定されています。もちろん、キャッシングでもカードローンでも、年収によって借入限度額は変わります。
カードローンを使う場合は、借入限度額が高いからこそ、むやみに使い込んでしまうことがないよう注意しましょう。金利が低いからと安心してお金を借りていると、いつの間にか借入残高が大きくなり、利息も高くなっていることがあります。
仮に金利が同じで借入残高が50万円だった場合と200万円だった場合の利息を比較してみましょう。なお、金利はどちらも10%とします。
<借入残高50万円の場合>
50万円×10%÷365日×30日=約4110円
<借入残高200万円の場合>
200万円×10%÷365日×30日=約1万6438円
このように、金利だけでなく、残高が利息に与える影響も非常に大きいため、注意しましょう。
キャッシングとカードローンの違い3.返済方法
最後に、キャッシングとカードローンでは、返済方法も異なることがあります。
返済方法には、翌月1回返済と、毎月返済があります。翌月1回返済とは、利用した分を翌月にすべて返済する方法です。一方、毎月返済とは、毎月一定額をコツコツと返済していく方法です。
一般的に、キャッシングでは翌月1回返済、カードローンでは毎月返済を選ぶ人が多い傾向があります。金利や借入限度額のことを考慮しても、金利が高く借入限度額の低いキャッシングは、翌月一気に返したほうが利息もかさみません。
一方、カードローンは借入限度額が高いことから、一気に返済するのは厳しいケースもあります。金利が低ければ利息も大きくはならないので、毎月少しずつ返済することが理にかなっていると言えるでしょう。また、お金に余裕があるタイミングで、追加で返済することも可能です。
カードローンの毎月返済では、残高スライドリボルビング方式という返済方法がポピュラーです。残高スライド方式とは、借入残高に応じて毎月の返済額が変わる返済方法です。借入残高が大きいほど毎月の返済額も大きくなり、借入残高が減ってくると、自動的に毎月の返済額も小さくなっていきます。
毎月の返済額は、数千円から数万円で変動するよう設定されています。例えば、借入残高が10万円以内なら毎月の返済額は4000円、借入残高が500万円超なら毎月の返済額は6万円といったように、返済額が変動します。
たくさん借り入れているときは返済額が大きくなり、自然と財布のひもが締まるため、合理的な方法と言えるでしょう。
リボルビング方式とは、何回お金を借り入れたとしても、毎月の返済額には影響しない返済方法のことです。リボルビング方式を理解するには、分割払いと比較するとよいでしょう。
例えば、1ヵ月目に10万円、2ヵ月目に5万円お金を借りた場合について、分割払いとリボルビング方式を比較すると以下のようになります。
<分割払いの場合>
1ヵ月目の返済額:2万円
2ヵ月目の返済額:2万円+1万円=3万円
……
6ヵ月目に完済
※すべて5回払いとしています。
<リボルビング方式の場合>
1ヵ月目の返済額:1万円
2ヵ月目の返済額:1万円
…
15ヵ月目に完済
リボルビング方式だと、お金を借りた回数によって返済額が変わることがないため、安心して返済を続けられるというメリットがあります。
キャッシングとカードローンを上手に使い分ける
キャッシングとカードローンは、それぞれにメリット・デメリットがあります。自分の目的に合ったほうを選び、上手に使い分けましょう。
●キャッシングに向いている人
キャッシングに向いているのは、次のような人です。
・手間なく今すぐ借りたい人
・翌月返済できる見込みの人
・少額を借りたい人
とにかくすぐにでもお金をおろしたいと思っているとき、クレジットカードさえあればいつでもお金をおろせるキャッシングは非常に重宝します。仕事中に突然現金が必要になった場合なども、キャッシングさえあれば慌てる必要はありません。
金利が高い、借入限度額が小さいといったデメリットもありますが、翌月すぐに返済できるなら、利息の負担も抑えられます。翌月問題なく返済できるなら、多少金利が高くても、カードローンよりキャッシングの利便性が勝るでしょう。
●カードローンに向いている人
カードローンに向いているのは、次のような人です。
・金利を抑えたい人
・借入限度額に余裕がほしい人
・毎月少しずつ返済していきたい人
社会人1年目の1人暮らしで、生活費が不足しがちな場合など、継続的にお金を借りたいというケースもあるでしょう。そんなときは、できるだけ金利を低く抑えられるカードローンが適しています。
カードローンなら、借入残高に応じて、毎月少しずつ返済していくことができます。キャッシングと比べて借入限度額が高いため、比較的余裕を持ってお金を借りることができるでしょう。

キャッシングとカードローンの注意点
キャッシングやカードローンは、賢く使えばメリットの大きいサービスです。一方で、「お金を借りている実感」が得られにくいため、使い過ぎにはくれぐれも注意しましょう。
いつの間にか借入残高が増え、返済に追われていたという人も少なくありません。本当にお金を借りる必要があるのか、返済のめどは立っているのか、お金を借りる前に自分に問いかけてみることが大切です。
もしも返済が厳しくなってきたと感じたら、早めに家族など信頼できる相手に相談しましょう。お金の話はしにくいと思うかもしれませんが、誰かに相談することで、気を引き締めて完済することができます。
キャッシングカードローンも活用次第でメリットがある
キャッシングとカードローンには、金利・利用限度額・返済方法など、さまざまな面で違いがあります。それぞれのメリット・デメリットを知ったうえで、自分に合ったサービスを使いましょう。
クレジットカードを持っているなら、キャッシング機能があるか確認しておくといいでしょう。また、いざというときに備えてカードローンに申し込んでおくのも1つです。カードローンに申し込んでおけば、突然お金が必要になったときも、低い金利でお金を借りることができます。
給料日前で生活が苦しいときや、病気やケガで医療費がかさんだとき、家電が壊れたとき、友人と旅行するときなど、「お金を借りられたら」と思うタイミングは、意外と日常に多いものです。キャッシングやカードローンを賢く活用し、いざというときに備えましょう。
