1日で42億の分の1に値下がりした「TITAN」をご存じだろうか?6月17日に大暴落し、多数の“被害者”を出した暗号資産だ。シンガポール在住のYouK氏もその一人。学生時代に起業し、ひと財産を築いてシンガポールへ移住。

投資で生計を立てるなかで暗号資産を知ってハマった。そうして築いた資産は今や10億円にもなるという。

YouK(@youk55)
YouK(@youk55)
昭和59年生まれ。大学生時代に起業して稼いだお金を元手に投資を開始。株では失敗したものの、シンガポール移住後の2015年から開始した暗号資産投資で荒稼ぎ。3000万円ほどの原資から、2021年ピーク時には15億円まで資産が増大。暗号資産バブル崩壊に伴い、直近資産は10億円前後に。
Twitter:@youk55

株式投資で2度も上場廃止を経験

――投資をはじめたきっかけを教えてください。

大学生時代にネット広告会社をつくって軌道に乗り始めたところで株式投資をはじめたのが最初ですね。21歳の頃です。当時は学生ベンチャーが流行っていて、起業する同級生や先輩が周りにたくさんいた。彼らはまとまったお金が手に入ると、株に手を出すんです。それで、僕も影響されて投資をはじめたわけです。

――これまでどんな銘柄に投資したんですか?

500万円ほどの元手で、とりあえず有名どころの任天堂を買ったのですが、完全に高値掴みしてしまいました。その後、不動産投資にも興味があったので、勉強を兼ねて建設系のスルガコーポレーションを買ったら、反社会的勢力との関係が明らかになって銀行からの資金調達がストップ。2008年に上場廃止が決まってしまいました。

直後には東証マザーズ上場第1号企業で知られるニューディールにも投資していたのですが、これもまた2009年に上場廃止になってしまいました……。株式投資のセンスは自分にないな、と思ってそれ以降は株からは足を洗いました(苦笑)。

――2回も上場廃止を経験するのは珍しいですね。株を止めて、どんな投資をしたのでしょうか?

父親がいろんな投資に手を出していた影響か、私も「投資」と名の付くものはなんでも手を出してきました。株のあとは、FX、先物取引、オプション、バイナリーオプションなどは一通りやりました。本業だけで年間数千万円の収入があったので、最悪ゼロになってもいいという覚悟で。

株では失敗続きでしたが、投資でコツコツと利益を積み重ねることはそう難しいことではありません。100万円しかないのに1億円稼ぎたいという非現実的な夢を抱くから、ゼロになるまでやってしまうんです。2020年の1年間で日経平均株価は16%上昇しているんですから。年10~20%のリターンは比較的簡単に達成できるんです。

1億円運用したら年1000万~2000万円だから、それだけで生活するのも難しくない。ただ、そのリターンには税金がかかる。だから、僕は2014年にシンガポールに移住したんです。シンガポールならキャピタルゲインは非課税。プライベートバンクに預けるだけで20%程度のパフォーマンスもあがります。

――確かにシンガポールは富裕層の移住先として有名ですね。

ただ、実際に移住してみたら自分の小物ぶりを痛感しました。当時の僕は2億円ほどの資産しかありませんでした。でも、周りは何十億円という資産を保有している人ばかり。2億円程度の資産じゃ、裕福な暮らしはできなかった。そんな僕の生活を変えてくれたのが、暗号資産でした。

約30万円だったビットコインに3000万円分を投じる

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(画像=PIXTA)

――最初に投資したのはビットコインですか?

僕はリップル(XRP)でした。起業家の仲間から勧められて2015年に1XRP=3円で、130万XRP買いました。その仲間は、2013年からビットコインを買っていて、2013年に起こったバブルで荒稼ぎしたんです。その彼が「次はリップルだ」と教えてくれて。

――リップルは2018年1月に一時400円近くまで急騰しましたね。ボロ儲けした?

実は……1XRP=1円で損切りしてしまいました(苦笑)。リップルは2017年の暗号資産(仮想通貨)バブルの際には急騰しましたけど、僕が買った2015年から2016年はずっと0.5~1円台で推移していたんです。それで我慢できなくなって、損切りしました。ただ、リップルを知ったおかげで2017年のバブルにいち早く乗ることができた。

1ビットコインが30万円だった2017年1月に3000万円分購入し、200万円台まで値上がりした2017年12月に半分利確して1億円の利益を確保。この間、アービトラージ(サヤ取り)でも5000万円以上の利益を稼ぐことができました。当時は、取引所ごとにビットコインの価格が大きく乖離することが少なくなかったので、高値の取引所で売りを入れて、安値の取引所で買いを入れるという単純なアービトラージです。仮想通貨投資黎明期だったからこそ、有効だった投資法です。

――2017年にはざっと1億5000万円の利益を出したと。

ただ、ご存じのように2018年1月にはバブルが崩壊したので、そこからはレンディングとICO(イニシャル・コイン・オファリング)にシフトしました。2017年以降、暗号資産のレバレッジ取引が爆発的に広まったので、ビットコインを貸すだけで年利10~20%のリターンを簡単に得られた。

そのレンディング需要の高まりを受けて2018年にICOを実施したセルシウス(CEL)のプロジェクトには2000万円投入しました。このプロジェクトは暗号資産を預けて金利を得たり、暗号資産を担保に法定通貨を借りられるサービスを実現するというもので、2020年後半からはじまったバブル相場を受けてCELは一時100倍以上に高騰しました。私は30倍に値上がりしたところで一部利確しましたが、まだ100万ドル分のCELを保有しています。

1日で42億分の1になった暗号資産

――2017年以降は暗号資産投資で稼いできたわけですね。失敗したのは最初のリップルだけですか?

実は今年やらかしました(笑)。6月に話題になった「TITAN」で。この暗号資産は、IRONという別の暗号資産の裏付けになるもの。1IRONは75セント分のUSDC(1USDC≒1ドルにペックされたステーブルコイン)と25セント分のTITANから生成されるコインなんです。つまり、IRONも米ドルとほぼレートが固定されたステーブルコイン。

なのに、このIRONを買ってアイアンファイナンスという発行元に預けるだけで、年利数千~数万%というとんでもないリターンが発生した時期があった。その超高利回り運用が注目を集めて、TITANも急騰を続けた。ところが、6月16日に入って突如暴落をはじめてTITANが65ドルからほぼ0ドルまで1日で値下がりしたんです。この暴落の影響でほかの暗号資産も値下がりして、55万ドルの損失が出ました。

――1日で42億分の1に値下がりしたと話題になった暗号資産ですね。改めてそのリスクの大きさがクローズアップされたわけですが、今後も暗号資産投資を続けるのですか?

株やFXよりも確かにリスクはあるかもしれませんが、圧倒的にリターンが大きい。株やFXで30倍のリターンを得るのは難しくても、暗号資産なら難しくない。その点で、暗号資産以上に魅力的な金融商品は今のところないと思っています。

今からはじめるならビットコインの積立投資がオススメ

積立投資
(画像=PIXTA)

――ただ、初心者にはハードルが高そうですよね。

なけなしの100万円を1億円にしようとするから1回の失敗ですべてを失ってしまうんです。現実的な目標を立てられない投資家は、必ずどこかで立ち直れなくなるほどの失敗をするでしょう。今からはじめるなら、月々数千円でも数万円もいいから、定期的にビットコインを積み立てていくことです。

今年、ビットコインは700万円を超えたのち400万円割れまで調整しましたが、2018年から2019年まで調整局面があったように、調整期間を挟んで再び1000万円を目指す可能性は高いと見ています。短期間で数十倍のリターンを目指さず、年利20~30%を目標に投資をすればリスクは小さい。積み立てたビットコインをレンディングに回すだけでも年利10~20%の金利収入が得られるんですから。

仮に、ビットコイン以外にも投資したいのなら、日本人投資家が買い煽っているような暗号資産には絶対手を出さないこと。そうした暗号資産の95%は詐欺的案件だと考えています。SNS上には値を釣り上げようと、不確定な情報をバラ撒く自称投資家が溢れているんですから。そういう人間に振り回されないように、最低限、プロジェクトの中身をチェックするべき。

加えて一番重要なことは、最低限、元本割れしないように値上がりしたタイミングで一部を利確すること。100万円投資して、2倍に値上がりしたところで半分利確したら、それ以降はリスクゼロです。リターンはそこそこにリスクを最小化する投資を実践すれば、暗号資産でも負けることはないんです。