2020年3月のコロナショックから日経平均はV字回復を果たして、一時3万円の大台に。そんなコロナ相場で毎月500万円前後の利益をたたき出してきたのが、専業投資家の「kc」さんだ。大学生時代に投資を開始。そのまま会社員になることなく、専業投資家の道を歩み続けた。それから20年、資産2億円を果たした投資手法とは?

kc(@kabu4321)
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kc(@kabu4321) 大学生時代にスロットで月100万円近く稼ぎ続けて、2000年から400万円を原資に株式投資を開始。以降、FXや暗号資産(仮想通貨)、オプション取引などにも手を広げながら専業投資家として活躍。2012年末から本格化したアベノミクス相場に乗って資産を増やし続け、2015年に“億り人”に。コロナ相場では月に500万円前後をコンスタントに稼ぎ続け、直近の資産は2億円超。

400万円の元手が、約15年間で1億円を突破

ヒロセ,FX,口座開設
(画像=PIXTA)

――一度も会社員として働いたことがないようですね?

そうなんですよ。大学生のときにスロットで結構な額を稼いでいたもんで。代打ちを立てたりして組織的にやって毎月100万円近く稼いでいました。ただ、スロットで稼げる額は、それが限界。もっと稼ぐ方法はないかと思ったときに、友達がやりはじめていた株に興味を持ったんです。それで2000年に400万円の元手で株式投資をはじめました。

――スロットのように稼げましたか?

はじめは全然ダメでした。1000万円に増やしては原点まで減らすの繰り返し。ただ、大学卒業と同時に専業投資家になって、さらに25歳で“できちゃった結婚”したもので、死に物狂いで投資に打ち込みました。

ただ、着実に稼げるようになったのは2012年以降のこと。アベノミクス相場の初動から乗ることができたので、一気に資産が2倍以上に増えた。実は、その年に離婚してひとり身になったんで、投資に集中できたという側面もあります(笑)。

――どうやって資産を増やしたんですか?

2012年に安値で放置されていた銀行株やゲーム株、バイオ系の新興株などを買い漁ったんです。その年の年末に自民党が政権を奪取しましたけど、その直前から外資系証券で働く友達から「これからは絶対、株高だ」と聞いていたので。

翌年には日銀・黒田バズーカ(異次元量的緩和)がスタートして、あらゆる銘柄が値上がりしていった。そのおかげで、2015年には資産が1億円の大台を突破しました。

――個別がメインですか?

個別株と株価指数先物がメインですね。一時期はストップ高した銘柄を翌日の寄り付きで買っていったりもしたけど、今年3月に信用規制の基準が厳しくなったので、そういうデイトレはやりづらくなりました。3営業日連続で25日移動平均線から30%以上乖離したりすると、すぐに信用規制がかかるようになったんで3日連続で上げ続ける銘柄が減ったんです。日替わりで上げる銘柄が変わりがちなので、デイトレのハードルが上がった。

同じく、3月には某著名投資家が、2020年に新規上場したバイオベンチャーのモダリスの株をロックアップ(売却禁止)期間中に売却していたことが発覚して、IPOのセカンダリーマーケットも不安定になった。本来、大株主はロックアップがかかっているはずなのに、実は簡単に売り抜けられることがわかってIPO銘柄に買いが入りにくくなったんです。

“暗黙のルール”を理解して相場で荒稼ぎ

――そうすると、今はどうやって稼いでいるんですか?

コロナ相場以降の話をすると、しばらくはNYダウのCFD(差金決済取引)と日経平均先物を中心にトレードしてきました。2月末からはじまった暴落局面では、週末にNYダウのCFDを売り持ちして、週明けに手仕舞いするだけで大きな値幅が取れたんです。大損するリスクは小さかったし……。

日本で取引できる指数連動CFDの取引開始時間は朝7時(夏時間)で、一般的な先物取引のレギュラーセッションは8時45分(プレオープンは8時)。CFDなら先物の寄り付きまでに2時間もあるので、利益確定するか損切りするか余裕を持って判断できるんです。

付け加えておくと、IG証券の「サンデーダウ」をチェックすれば、土日の値動きも見ることができる。普段はほとんど商いがないんですけど、暴落相場などでは週明けの値動きを予想するヒントになる。土日も大きく下げていたら週明けは、下に大きく窓をあけて寄り付くと予想できるんです。

――相場の仕組みを知ることで、トレードチャンスが増える?

それは間違いありません。コロナショック後のコロナバブル相場では日銀が大活躍しましたよね。2020年3月からTOPIX連動型ETFの買い入れ額を倍増したことが、相場の底打ち材料になった。この日銀のETF買いには“暗黙のルール”があって、その日のTOPIX(東証株価指数)の前場終値が前日引け値に対して0.5%以上安くなったら後場に買いを入れてくるんです。

実際には前場終値が0.5%安未満でも買い出動するときがありますが、0.5%を超えたらほぼ確実に買ってくる。このルールに則って前場に0.5%安を記録したら日経平均先物やCFD、TOPIX連動型のCFDなどで昼時間に先回り買いを入れる。すると後場にかけて値上がりして、簡単に値幅が取れたんです。

――今でもそのトレードは有効ですか?

6月半ばに米国の金融緩和縮小観測が広まって日経平均が1日で1000円近く下げた日がありましたが、そのときも日銀のETF買いが入りましたから、今でもある程度は有効だと思います。ただ、時々「TOPIX職人」と呼ばれる価格操作が入る点には要注意。ギリギリ、前場の下げ率が0.5%に達しないよう不自然に買いが入るときがあるんです。すると、「0.5%を超えそうだから」と早めにCFDなどの買いを入れていた人が慌てて手仕舞いの売りを入れて、後場に急落することがあるんです。

そういうギリギリ0.5%に届かない「TOPIX職人」を発見したら、逆に昼休憩中にCFDなどで売りを入れておくと値幅が取りやすい。SBI証券の前場の売買代金ランキングで日経レバETF(日経平均の2倍の値動きがあるETF)が大幅な買い越しになっていたら、鉄板で下げると思っています。

相場格言の「初押しは買い」は鉄板法則!?

――個別株の鉄板トレードはありませんか?

私の中で「初押しは買い」という鉄板法則がありますね。たとえば、6月にはエーザイが「米国でアルツハイマー病治療薬の承認をもらった」とリリースを発表して、2日で50%近くも急騰しましたが、その週の木曜日に利益確定の売りに押されて一時的に1万円を割り込んだです。私はこのタイミングで買いで入って10%超の値幅取りに成功しました。

あとは好決算が確実な企業の先回り買いも有効だと思っています。サイバーエージェントは子会社Cygamesが運営するソーシャルゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」が絶好調で、今年1~3月の2021年9月期第2四半期決算も好調が予想されていました。そこで私は決算発表直前に買いを仕込んでおいたんです。実際、四半期決算は予想以上の内容で、発表当日は一時ストップ高を記録しました。

一見すると一か八かの賭けに見えますが、このトレードは先回りして買いを入れた人に有利な賭け。なぜなら値上がりする期待値のほうが大きいんですから。予想通りの好決算で材料出尽くしの利益確定売りが出ても、すぐに新規の押し目買いが入る可能性が非常に高い。仮に5%ほど下げる局面があっても、10%以上値上がりする可能性のほうが高いと簡単に予想できたんです。

――20年間、投資を続けてきて失敗したことはないんですか?

一番の失敗は2017年に仮想通貨に手を出したことですね。含み益も含めて億単位のお金を飛ばしてしまいました。

――その20年の投資経験から初心者にアドバイスするとしたら?

「必ず人間は間違える」ということを頭に叩き込んでおくことでしょう。失敗するリスクを念頭にトレードしていれば、大失敗は避けられるはず。近年ではSNS上で話題になった銘柄や買い煽りに乗っかってトレードする人もいますが、それが銘柄の株価を上げる材料になっても、企業価値を上げる材料にはならない。価値が上がってないのに株価だけ値上がりしていたら、すぐに株価は元の水準に戻ってくるんです。そういうことを考えず、人の話を鵜呑みにして失敗する人が多い印象です。

あとは、相場に向き合う以上、最低限、相場の仕組みやルールは頭に叩き込んでおくべき。近年ではPTS(夜間取引)の利用者が増えていますが、SBI証券の夜間取引は16時半から23時59分までなのに対して、楽天証券の場合は17時から23時59分まで、という違いがある。

その違いから16時半から17時にかけてSBI証券のPTSで値上がりする銘柄が多くなっているんです。楽天証券のPTS開始を前に先回り買いが入りやすくなっている。そういう法則を見つけ出すことができれば、トレードチャンスも増えるのではないでしょうか。