2000年代からネット銀行が徐々に増えてきました。現在ではインターネット専業銀行が7行、ネット銀行に近い業態の金融機関も含めると11行があります。昨今、それらのネット銀行の多くが住宅ローンを提供しています。住宅ローンを組むにあたり、ネット銀行を検討している人も多いことでしょう。

本稿では、ネット銀行の住宅ローンの特徴やメリット・デメリット、金利の仕組みなどを解説します。

住宅ローンはネット銀行の時代

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(画像=PIXTA)

かつて住宅ローンといえば、金融機関の店舗に足を運んで相談するのが普通でした。ネット銀行の普及によって住宅ローンのあり方は徐々に変わってきています。ネット銀行の住宅ローンはオンラインで簡単に手続きでき、金利も安くて選べるプランも多種多様であり、選び方次第でお得に利用できることから人気を集めています。

ネット銀行と主要都市銀行の変動金利の差を比較すると、下図のようになります。

ネット銀行と主要都市銀行の変動金利の差

今後もネット銀行の住宅ローンが普及していくにつれて、「ネット+住宅ローン」の組み合わせは一般的になっていくでしょう。住宅ローンといえばネット銀行の時代に突入しつつあるのです。

住宅ローンネット銀行のメリット

今や多くのネット銀行が住宅ローンを提供していますが、その特徴を知るには一般的な金融機関の住宅ローンと比較すると分かりやすいです。

金利が安い

ネット銀行の住宅ローンは、なんといっても金利が安いという特徴があります。
住宅ローンは基本的に借り入れ額が大きく、返済期間も長期にわたります。このためわずかな金利の差であっても、総支払利息が何十万円や何百万円といった単位で変わってくるため、金利の安いネット銀行を利用しない手はないでしょう。

店舗に行かなくてもいい

金融機関から多額の融資を受ける際には、金融機関の店舗に出向くものというイメージがあります。実際に一般的な金融機関の住宅ローンでは、申し込みから借り入れまでのどこかのタイミングで店舗に行かなければならないケースが多いです。

しかしネット銀行の住宅ローンでは店舗に行かずにWebで全て完結するか、あるいは大部分を店舗に行くことなく手続きできるのが普通です。Webで全て手続きできるネット銀行を利用すると、店舗に赴く手間がかからないだけではなく、審査の必要書類をネット上でアップロードして提出できるなどのメリットが得られます。

繰上げ返済の手数料がかからない

金利が安いことに加えて、手数料が安いこともネット銀行のメリットでしょう。多くのネット銀行が繰り上げ返済手数料を無料としています。

ネット銀行以外では、繰り上げ返済手数料を有料としているケースも多く、例えば常陽銀行では固定金利の住宅ローンの一部繰り上げ返済手数料に2万2000円、全額繰り上げ返済手数料として4万4000円の手数料を設定しています。

住宅ローンネット銀行のデメリット

ネット銀行の住宅ローンにはデメリットもあります。特に大きなデメリットは以下の2つです。

審査が長くなることがある

ネット銀行の住宅ローンは、審査期間が長い傾向にあります。ネット銀行以外で住宅ローンを組むと3週間程度で終わるのが普通ですが、ネット銀行の住宅ローンでは平均して1ヶ月程度を要します。1ヶ月半以上かかるケースも珍しくありません。

これは、ネット銀行の特性によるものです。ネット銀行そのものの歴史は浅く、住宅ローンに関するデータやノウハウがそれほど蓄積されていません。このため、データとノウハウが豊富な大手金融機関に比べて、申込者の信用情報や物件の担保価値調査などに時間がかかるのです。

また、来店せずにWebでのアップロードや郵送によって必要書類を提出することが多く、書類の不備が発生しやすいことも原因のひとつです。審査は必要書類が全て揃ってから開始されるため、書類のやり取りが円滑でないことによって審査期間が長引く傾向があります。

審査を厳しくしている

審査が厳しいことも大きなデメリットです。ネット銀行の住宅ローンは、一般的な金融機関に比べて審査の柔軟性が乏しく、画一的に審査します。そのため借りられる見込みがある人でも、どこか一部分が審査に引っ掛かって落ちることがあるのです。

ネット銀行の住宅ローンは、一般的な金融機関より金利や手数料が安いのが特徴です。金利や手数料が安ければ、住宅ローンの貸し付けによって得られる収益(利ザヤ)も小さくなります。また、ネット銀行では信用会社の保証をつけずに融資することが多いのです。

つまり、収益性が低めで保証会社による債権保全も不十分であることから、貸し倒れによる損失は何としても避ける必要があります。貸し倒れリスクの低い顧客だけに融資するために、どうしても審査が厳しくなってしまうのです。

ネット銀行の金利が安い理由

ネット銀行の住宅ローンは、なぜ低金利なのでしょうか。

ネット銀行は、店舗型の金融機関のように店舗を構えておらず、ほとんどのサービスをネット上で提供しています。そのため、店舗運営コストが不要であり、ATMもほかの金融機関やコンビニと提携することでコストを抑えています。

住宅ローンの手続きも、ネット銀行はWeb上で行います。一般的な金融機関の店頭手続きと比較すると、下図のようになります。

住宅ローンの手続き

コストを削減すれば利益率は高まり、金利を下げることで売上が減っても利益を残すことができます。これが、ネット銀行の金利が低い理由です。

また、ネット銀行では基本的に個人の顧客を相手にしており、一般の金融機関のように数千万円、数億円単位の事業性融資を取り扱っていません。したがって、個人を相手に融資額を伸ばしていくためには、住宅ローンの利用者を増やすことが重要となります。

ほかの金融機関ではなく自行に申し込んでもらえるだけの魅力を備えるには、安い金利を提示する必要があります。これもネット銀行の金利が安い理由のひとつでしょう。

変動金利と固定金利

ネット銀行の住宅ローンを組むにあたって、金利が安めの変動金利を選ぶか、あるいはやや高めの固定金利を選ぶかを迷っている人も多いことでしょう。ここで、変動金利と固定金利について紹介しておきます。

変動金利は安くなる傾向に

住宅ローンの金利プランを見ると、固定金利よりも変動金利のほうが安くなっているのが普通です。これは、変動金利で借りてもらったほうが金融機関によって好都合であるためです。

固定金利では、長期にわたって金利を固定します。特に全期間固定であれば、完済まで金利が変わることがなく、金利が上昇した場合には収益性の低下を避けられません。変動金利は、景気が上向くことによって金利が上がるため、安い変動金利で貸し出したとしても、完済までの期間中に金利が上昇すれば収益が上がります。

つまり、変動金利を選んでほしい思惑があるため、固定金利よりも変動金利が安くなる傾向にあるのです。

変動金利を選ぶのは現在の金利が安いから

住宅ローンは借り入れる金額が大きく、返済期間も長期にわたります。総支払利息を減らすには金利が低ければ低いほど好ましいため、多くの人が変動金利を選ぶ傾向にあるといえます。

金利が上がってしまうリスクはありますが、変動金利から固定金利にシフトできる住宅ローンを選ぶなどリスクに備える方法もあります。

社会の情勢と合わせて変動か固定かを決めよう

低金利時代の今、変動金利を選ぶことで低金利のメリットを享受できるでしょう。ただし、今後も長期的に低金利が続くとは限りません。そのため、住宅ローンを組む際には社会の情勢をよく見定めて、固定金利か変動金利かを慎重に選ぶことが大切です。

社会情勢や金利の動向にアンテナを張っておけば、金利が上昇傾向にあるか下降傾向にあるかが分かり、金利プランも選びやすくなることでしょう。

金利が安いネット銀行ベスト5(2021年3月現在)

住宅ローンの金利が安いネット銀行のイメージをつかむために、ランキング形式で紹介します。

以下に紹介するランキングは、住宅ローンを提供しているすべての金融機関を対象とするランキングをもとに、ネット銀行だけを対象としてランキングを再構築したものです。

新規借り入れ変動型金利が安い人気のネット銀行ローン5

   銀行名  年利
 第1位  住信SBIネット銀行 ネット専用全疾病保障付住宅ローン<通期引下げプラン> 変動  0.440%
 第2位  住信SBIネット銀行 ネット専用全疾病保障付住宅ローン<通期引下げプラン> 変動  0.380%
 第3位  auじぶん銀行 全期間引下げプラン 変動  0.410%
 第4位  イオン銀行 住宅ローン 変動金利プラン 手数料定率型 変動  0.410%
 第5位  ソニー銀行 変動セレクト住宅ローン【自己資金10%以上】変動  0.457%

借り換え変動型金利が安い人気のネット銀行ローン5

   銀行名  年利
 第1位  住信SBIネット銀行 ネット専用全疾病保障付住宅ローン<通期引下げプラン>変動  0.410%
 第2位  ジャパンネット銀行 住宅ローン 変動  0.380%
 第3位  auじぶん銀行 全期間引下げプラン 変動  0.410%
 第4位  イオン銀行 住宅ローン 変動金利プラン 手数料定率型 変動  0.520%
 第5位  ソニー銀行 変動セレクト住宅ローン  0.507%

新規借り入れ固定型金利が安い人気のネット銀行ローン5

   銀行名  年利
 第1位  auじぶん銀行 当初期間引下げプラン 固定10年  0.525%
 第2位  ジャパンネット銀行 住宅ローン 変動  0.499%
 第3位  ソニー銀行 固定セレクト住宅ローン【自己資金10%以上】固定10年  0.550%
 第4位  住信SBIネット銀行 ネット専用全疾病保障付住宅ローン<当初引下げプラン>固定10年  0.660%
 第5位  イオン銀行 住宅ローン 当初固定金利プラン 手数料定率型 当初10年固定  0.620%

借り換え固定型金利が安い人気のネット銀行ローン5

   銀行名  年利
 第1位  auじぶん銀行 当初期間引下げプラン 固定10年  0.525%
 第2位  ジャパンネット銀行 住宅ローン 変動  0.499%
 第3位  イオン銀行 住宅ローン 当初固定金利プラン 手数料定率型 当初10年固定  0.620%
 第4位  住信SBIネット銀行 ネット専用全疾病保障付住宅ローン<当初引下げプラン>固定10年  0.660%
 第5位  ソニー銀行 固定セレクト住宅ローン 固定10年  0.600%

私がこの銀行を選んだ理由口コミを紹介

実際にネット銀行で住宅ローンを組んだ人の口コミを読むと、選ぶ際の参考になります。

【auじぶん銀行で新規借り入れ】
複数の金融機関を比較したら、特に金利が低かったので選びました。金利の仕組みも分かりやすく、金利優遇もスムーズに受けることができました。
ネット銀行なので手続きが不安だったのですが、必要なタイミングで毎回案内のメールを送ってもらえたので迷わず手続きできました。

【住信SBIネット銀行で新規借り入れ】
金利だけを見ればもっと安いネット銀行はありますが、全疾病保障をつけての金利なのでトータルで見ると安いと思って決めました。
住信SBIネット銀行は普段から使っているので、安心感もありました。

ネットのローンは全体的に安く選んで正解

金利が安いネット銀行ベスト5で具体的に見たとおり、ネット銀行の住宅ローンの金利は全体的に安く設定されています。変動金利は特に安く、途中で固定金利にシフトできる住宅ローンも多いため、選んで間違いないといえるでしょう。

とはいえ、ネット銀行の住宅ローンにはいろいろなプランがあるので、自分に最適なものを選ぶことが大切です。