住宅ローンを組む際には、金利プランを選ぶ必要があります。このとき低金利に惹かれて変動金利を選ぶ人も多いことでしょう。しかし変動金利はその名のとおり金利が変動するものであるため、金利が大幅に上昇して支払額が大きくなるリスクもあります。

このリスクを正しく見積もって最適なプランを選ぶためにも、本稿で変動金利について学んでいきましょう。

住宅ローンの変動金利とは?

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(画像=PIXTA)

まず住宅ローンの変動金利とは何なのか、基本的なことから学んでいきましょう。

変動金利型の仕組みを解説

変動金利型とは、その名のとおり「金利が変動するタイプ」のことです。金利の見直しは半年ごとに行われるため、変動金利型の住宅ローンを組んでいる場合には適用金利も半年ごとに見直されます。金利見直しの結果、金利が下がれば返済に伴う支払利息は少なくなり、金利が上がれば返済に伴う支払利息は多くなります。

ただし、金利が変わったとしても、返済額がすぐさま変わるわけではありません。これは、変動金利の返済には「5年ルール」というルールが存在し、金利が上がった場合にも返済額が5年間据え置かれるためです。また、「125%ルール」というルールもあり、金利が極端に上昇した場合にも、返済額の上昇は最大で1.25倍までに制限されることになっています。

なぜ住宅ローンの金利が変動するのか?

住宅ローンの金利が変動する理由は、経済の原則を考えれば簡単に理解することができるでしょう。

あらゆるモノの価格は、需要と供給のバランスによって決まります。需要が供給を上回っている状況では価格が上昇し、供給が需要を上回っている状況では価格が下落します。金融機関の貸付金利も同じです。金融機関にとって貸し付けるお金は商品であり、借りたいと思う人が多ければ金利が上昇し、借りたいと思う人が少なければ金利が下落するのです。

好景気であれば、お金を借りたい人が多くなります。経済全体のお金の巡りが活発になると多くの人が豊かになり、多少金利が高くても借りたいと考える人が増えるため金利は上がっていくわけです。逆に、不景気になるとお金を借りたい人が減ります。そうすると、高い金利では借りてもらえないため金利は下がっていきます。住宅ローンの金利も、基本的には同じ原理によって変動するのです。

固定金利と変動金利の違い

固定金利と変動金利の最大の違いは、固定金利に比べて変動金利のほうが大幅に低いことです。固定金利と変動金利の違いを知るには、金利が異なる理由を知る必要があります。

不景気でも融資しやすい住宅ローン

前述したとおり、金利は景気に伴って変動します。好景気では金利が上がり、不景気では金利が下がります。金融機関の最大の融資先は企業ですが、不景気な局面では経営が不透明となって貸し倒れリスクが高まるため、企業に対する融資が難しくなるのです。

とはいえ、融資によって利息収入を得ることが金融機関のビジネスモデルの軸であり、全く融資しないわけにはいきません。そこで 金融機関は住宅ローンの拡大にシフトします。住宅ローンであれば、住宅という担保が確実にあるだけに債権の保全も比較的容易であり、不景気な時期でも融資しやすいのです。

金利が上がれば固定金利は不利に

さて、不景気によって大幅に下がった金利で住宅ローンを融資するとき、金融機関にとって都合が良いのは変動金利と固定金利のどちらでしょうか。

それは変動金利です。なぜなら住宅ローンの返済期間は非常に長く、その期間中に景気が上向けば金利も上がる可能性が高いからです。変動金利で貸し付けていれば、利息収入も増えていくことになります。

ところが固定金利で貸し付けていた場合は、景気が良くなっても低い金利のまま変わりません。変動金利が融資時点の固定金利を上回ったとすると、金融機関は当然その分の利息収入が得られないことになるのです。

さらに、超好景気時代が到来して金利が大幅に上昇したとすれば、貸すために調達した資金の金利(調達先である日本銀行が定める政策金利)が貸したお金の金利(不景気時代に融資した住宅ローンの固定金利)を上回る可能性もあります。そうなれば、日銀に支払う利息が住宅ローンの利息収入を上回り、金融機関は損をすることになります。

金利の変動リスクをどう捉えるかが選ぶポイント

基本的に固定金利よりも低い変動金利ですが、この変動金利には「変動リスク」が伴います。変動リスクとは、金利変動の悪影響を被るリスクのことです。変動リスクを正しく捉えることで、住宅ローンを変動金利で組むべきか、固定金利で組むべきかが見えてきます。

資金に余裕があり短期間で返済するなら変動金利がおすすめ

変動金利は固定金利よりも低金利であるため、金利が大幅に上昇しない限りは固定金利よりも支払利息が小さくなります。これは間違いなくメリットです。

問題は、金利が大幅に上昇して借入時の固定金利を上回ってしまう場合です。このリスクは、借入期間によって大きく左右されます。借入期間が長ければ長いほど、借入期間中に景気が上向いて金利が上昇する可能性が高まるからです。したがって、借入期間が長い場合に変動金利で借り入れるとするならば、景気の動向を良く見定めなければなりません。

短期間で返済できるならば、借入期間中に景気が現状から極端に上向くことは考えにくく、金利変動のリスクも限定されます。このため、変動金利を選んで低金利のメリットを享受するのが良いでしょう。

このほか、資金に余裕があるかどうかも考えるべきです。低金利のままであることを予測して短期間での返済を予定していたとしても、絶対に金利が上昇しないとは限りません。もし万が一金利が上昇して返済額が膨れ上がったとしても、資金に十分な余裕があれば返済負担に耐えることができます。ローンの残額や資金の余裕がどの程度かにはよるものの、金利の上昇が軽微なうちに全額繰り上げ返済を行うこともでき、変動リスクがあまり問題ではなくなります。

資金に余裕がなく長期間で返済するなら固定金利がおすすめ

変動金利よりも率が高く設定されている固定金利には、変動リスクがありません。金利がどのように変化しても一定であり、金利上昇の局面にあっても借入時の金利で返済を続けることができます。

変動金利の場合には借入期間が長いほど変動リスクが高まるので、長期間にわたって返済していく予定であれば、初めから固定金利を選ぶことでリスクヘッジを図るのもひとつの手段です。特に、資金に余裕がなくて金利上昇への耐性が低い人は、固定金利を選んでおくのが安全です。

変動金利型の住宅ローンをランキング形式で紹介

変動金利型の住宅ローンにはどのようなものがあるのでしょうか。変動金利のメリットが大きいものをランキング形式で紹介します。

【年0.38%】auじぶん銀行 住宅ローン(全期間引下げプラン/変動金利/じぶんでんきセットプラン)

auじぶん銀行の変動金利・全期間引下げプランは、基準金利から1.931%の引き下げ幅で提供されており、年利0.41%で住宅ローンを組むことができます。KDDIが提供する電気サービス「じぶんでんき」を住宅ローンとセットで契約すると、金利が年0.03%の引き下げとなってさらなる金利優遇を受けることができ、その場合の年利は0.38%です。

ただし、契約内容によっては金利の上乗せがあるため注意が必要です。例えば、団体信用生命保険(団信)のうち、がん50%保障団信は無料ですが、がん100%保証団信を契約した場合には年0.2%、ワイド団信または11疾病保証団信を契約した場合には年0.3%が上乗せされます。

【年0.38%】ジャパンネット銀行 住宅ローン(全期間引下型/変動金利)

ジャパンネット銀行の住宅ローンも変動金利の全期間引下型を利用することで、auじぶん銀行と同様に年0.38%で住宅ローンを組むことができます。基準金利2.28%に対して1.9 %の引き下げ幅であり、ほかのサービスを同時に契約するとさらに金利が引き下げられるといった優遇措置はありません。

注意すべき点は、auじぶん銀行と同様に団信の内容によって金利が上乗せされる場合があることです。がん50%保証団信で年0.1%、がん100%保証団信で年0.2%、11疾病保証団信またはワイド団信で年0.3%の上乗せとなっています。

また、金利見直しの頻度がほかの金融機関とは異なる点にも注意が必要です。通常、金利の見直しは半年に1回のペースで行われますが、ジャパンネット銀行の住宅ローンでは毎月見直しを行います。このため、ほかの金融機関よりも景気の変動に敏感に反応して金利が変動するといえます。

もっとも、5年ルールによって見直しから5年間は返済額が変わらず、毎月の見直しによって変動リスクがいきなり大きく高まるということはないので過敏になる必要はないでしょう。

【年0.41%】住信SBIネット銀行 ネット専用全疾病保障付住宅ローン(通期引下げプラン/変動金利)

住信SBIネット銀行の住宅ローンは、変動金利の通期引下げプランの金利を年0.44%に設定しています。さらに、住信SBIネット銀行を経由して三井住友信託銀行の「ネット専用住宅ローン」に申し込むと、通常の金利である年0.44%から最大年0.03%引き下げ、年0.41%で住宅ローンを組むことができます。

ただし、年0.03%引き下げの適用を受けるには、「投資信託自動購入プラン(投資信託を毎月1万円以上購入して積み立てていくプラン)」の契約が条件となります。このため、住宅ローンの年利が0.03%引き下げられることによる負担軽減と、投資信託を自動購入することによる負担増加を比較しながら慎重に選ぶ必要があります。

最適なプランでマイホームを購入する

変動金利には、低金利で借りられるメリットがあります。低金利のメリットが長期にわたって続けば、返済期間全体を通じて大きな負担軽減になるでしょう。

しかし変動リスクによって負担が大きくなることもあるため、慎重に選ぶことが必要です。 自分の資産状況に応じた返済計画を立てるのはもちろんのこと、金融機関ごとに異なる金利の優遇や上乗せについてもしっかり理解して借り入れることが大切です。