老後資金を確保するための資産運用の一環として、株式投資を始めようと考える人もいるでしょう。しかし、実行に移すにはハードルが高いと感じることも多いのではないでしょうか?
株式取引が難しそうに思えたり、損をすることが心配だったり、取引口座を開くなどのプロセスが面倒で、一歩前に踏み出すことができないという声もよく聞きます。この記事では、そんなみなさんのために株式投資の始め方を、基本知識とポイントを押さえながら解説していきます。
株式投資の基本

企業が資金を調達するために発行するのが株式です。企業は、株を発行することで得た資金をもとに事業を拡大し、得た利益を株主に換言することになります。一方、投資家は、株を取得することで、その企業に対する一定の権利を持つことになると同時に、企業が事業によって得た利益を分配してもらうことができるようになります。企業が発行している、すべての株のうちに占める比率によって、株主の発言権の大きさも変化します。
企業にとって社債や借入は返済義務があるものですが、株によって調達した資金を株主である投資家に返す義務はありません。
株式投資がもたらす3種類の利益
株式投資を行うことによって得られる利益には、大きく以下の3種類があります。
●キャピタルゲイン
●インカムゲイン
●株主優待
個々の内容をわかりやすく解説しましょう。
【キャピタルゲイン】
これは「値上がり益」とも呼ばれます。ある企業の株を購入した後に、その企業が成長すれば株の価格も上昇していきます。上昇したタイミングで株式を売却すれば、買った時の価格との差額が利益となります。これがキャピタルゲインです。
仮に保有している株式が、購入した時の2倍の価格になったとしましょう。その時点で持っている株式の半分を売るだけで、購入時の資金を回収することができます。そして、すべてを売却すれば、資金を回収した上にさらに同額の売却益がでるということです。ただし、そのタイミングで株式を手放すことで、その先の値上がりによる利益や株主に分配される配当金を受け取る可能性はなくなります。
そこで「インカムゲイン」を考える必要が出てきます。
【インカムゲイン】
あなたが株式を保有している企業が業績をどんどん伸ばしていけば、持ち株の比率に応じて「配当金」が支払われます。成長企業の株を買って保有し続けているだけで年に1〜2回の配当金を得ることが可能になります。これも株式投資がもたらす利益であり、インカムゲインと呼ばれます。
ちなみに米国企業は、株主に配当金を出すことを重視しており、基本的に年4回の配当を出そうとする企業が多いとされています。そのため、近年では日本の投資家の注目を集めています。
【株主優待】
上述した2種類の利益とは別に、株主に対して自社商品やサービスを支給する「株主優待」を提供する企業も多く見られます。これも株式投資によって得られる利益といえるでしょう。
優待を期待して株を購入する人もおり、中には株主優待で日々の消費生活をまかなっているような人も見られます。

株式投資の前に考えたいポイント
株には利益が得られる可能性があるというメリットもありますが、当然のことながらリスクもあります。
【キャピタルロス】
キャピタルゲインとは逆に、株価が下がっていった場合は、売ると損が確定してしまいます。株価の下落は、企業の業績悪化や、それ以外の理由でも起こるものです。経済全体の環境悪化や災害、テロなどさまざまな要素に影響されて株価が下落することがあります。
これが「値下がりリスク」と呼ばれるもので、売ると損をするので保有し続けざるを得ない状態が「含み損」と呼ばれます。最悪の場合は、企業が倒産すると株の価値はゼロになります。
株式投資を始める流れ
あなたが具体的に株式投資を始めるにあたっての流れを、ここでは紹介します。
【フェーズ1:口座解説】
最初にしなければならないのは、証券会社に口座を設けることです。多くの場合に無料で行なえます。会社ごとに様々な特徴があるので公式サイトの情報を比較し、よくわからない部分があれば資料請求を行ってから決めるのもよいでしょう。
最近では、手数料が店舗型より安いネット証券が口座数を拡大しています。オンラインで口座開設の手続きがほぼ完結し、ログイン用のIDとパスワードが付与されるというスピード感も人気を集めている理由でしょう。
【フェーズ2:資金準備】
株式を購入するための資金を準備して、証券口座に入金する必要があります。ATMからでも入金できますが、ネットバンキングで入金すれば手数料も安くなります。口座開設を行った証券会社と提携している銀行からであれば無料になるケースもあるので、自身に有利な方法を選びましょう。
【フェーズ3:株の選定】
公式サイトのマイページから、購入可能銘柄の一覧を見て購入する株を決め、資金を考え合わせて数量を決めることになります。
【フェーズ4:注文】
銘柄と数量が決定したら、いよいよ注文です。即時注文と株価指定注文の2種類の方法があるので、価格と時期を見て決定しましょう。
【フェーズ5:約定】
注文が成立することを約定(やくじょう)といいます。約定されると取引履歴に記録されるので、銘柄や数量を間違えていないかを確認しましょう。
少額投資は本当に利益を出せるのか ?
初心者の段階では、利益を上げるためは資金力が必要で、少額では損をしがちなのでは、などと不安に陥ることもあるでしょう。額の投資にメリットはあるのかどうかを、解説していきます。
注目するのは利益額でなく利益率
利益の絶対額だけに着目するなら、確かに資金を多く投入しているほうが多くのリターンを得ることができるでしょう。しかし、利益率は投資額の大小に関わらず同じです。投資対効果は投資額の大小を問わず、公平に出ることは間違いありません。
意外と低い手数料
株式の取引には手数料がかかります。利益率が同じでも手数料が高いなら、少額の売買では利益を打ち消してしまうこともあるでしょう。しかし、ネット証券なら10万円以下の売買は100円前後、30万円以下でも300円程度なので、あまり手数料を気にする必要ありません。さらにいえば、少額投資に特化したサービスも登場しており、手数料がかからないケースもあります。
少額投資「ミニ株」は1万円から始められる
少額投資の具体的な方法について触れておきましょう。まずは数千円から1万円程度で始められる「ミニ株」を紹介します。
ミニ株とは?
ミニ株とは文字通り、少額から株式投資ができる各社独自のサービスで、「単元未満株取引サービス」のことです。扱っていない会社もあります。
通常、株式は最低でも100株単位で取引が行われるので、株価2,000円で単元株が100株の場合の最少投資額は20万円となります。このように単元株を購入する場合には、数十万〜数百万の資金が必要となります。
ところが、ミニ株はおおむね1万円前後で取引可能です。配当については株の数に応じてきちんと分配されます。株式分割が行われた場合も同様に、株の数に応じて新規発行株を取得可能です。
ミニ株の取引
取引の特徴は売買の申し込みの翌日の「寄り付き」価格で、取引が行われるというところです。「寄り付き」は、その日の最初に成立した売買のことを指します。価格を指定する指値取引はできません。
ミニ株を購入し続けた結果、株数の合計が単元株数に達したときには、通常の単元株として扱われ、この段階で株式の名義が証券会社から投資家に変わります。
10万円で割安銘柄に投資 するための見極め方
株式には安い銘柄も当然あり、100株買っても10万円以下の銘柄も多く見られます。価値に対してお得な「割安感」のある銘柄を見つける方法を紹介しましょう。
目安はPBR
PBRは株価純資産率のことで、株価を1株当たりの純資産額で割った数値です。この数値が1以下であれば、企業が倒産しても株価に相当する資金が回収できることを意味します。1を超えていると実際の価値よりも株価のほうが高く、完全な回収には足りません。単純化すれば、1以下は割安、1を超えると割高な株ということになります。
PERは株価と利益の関係性
株価を1株当たりの当期純利益で割るとPERが出せます。これは株価収益率で、この数値がば大きいほど、利益に対する株価が割高です。業種によって差があるため、同業種の企業とPERを比較して小さいほど割安だと判断できます。
30万円の資金なら勝率が高い「IPO投資」がおすすめ
30万円の余裕資金があるなら、比較的手堅いとされる「IPO投資」に挑戦してみるのも選択肢の一つです。
IPOとは「新規公開株」「新規上場株式」と表現され、未上場だった株式を上場し、誰もが売買ができるようにすることを意味します。
IPO株投資とは、上場される株を買う権利をあらかじめ投資家が抽選で手に入れ、上場日の初値で売って利益を出す手法です。これは高い確率で大きな利益が期待できると言われています。
2019年に新規上場をした90社のうち77社が値上がり、12社が同額、1社が値下がりしました。つまり8割以上のIP銘柄が投資家に利益を与えたことになります。
少額投資に向いている証券 会社とは?
少額投資に向いているのは手数料が安いネット証券ですが、とりわけおすすめといえる証券会社を紹介します。
証券会社 | 取引手数料 | 取扱銘柄 | おすすめポイント |
---|---|---|---|
![]() |
0円 | 東証上場銘柄 | 取引手数料無料 Tポイントでも投資可能 |
![]() |
0円 (※) |
日本の有名企業1,015銘柄 | 独自制度の 株のバーゲン |
![]() |
0円 (※) |
日本の有名企業300銘柄 | 安心の 大和証券グループ |
![]() |
約定代金の0.55% (55円~) |
東証上場銘柄 | 証券口座開設数 国内証券会社1位 |
![]() |
約定代金の0.55% (52円~) |
東証、名証上場銘柄 | 米国株も1株から投資可能 |
![]() |
0円 (※) |
SMBC日興証券が指定する銘柄 | dポイントで投資できる |
![]() |
230円~ | 東証、名証上場銘柄 | ツールが使いやすい |
SBIネオモバイル証券
手数料が月額220円(50万円以下の場合)で、どれだけ取引してもそれ以外の手数料がかかりません。さらに、Tポイントが毎月200円分付与されるので実質は20円の負担しかかからないのです。
最大の特徴は投資にTポイントを利用できることで、初心者でもTポイントを利用して気軽に投資ができます。
LINE証券
「LINE Pay」で入出金ができることや「LINEポイント」を利用可能です。毎月1,000円からできる投資信託のつみたてなど、投資のハードルを下げてくれる会社といえます。
マネックス証券
手数料は約定代金×0.55%で最低手数料52円です。外国株式の米国株や中国株などの取り扱いが潤沢で、100円からの投資つみたてもあります。
SBI証券
手数料は約定代金×0.55%で最低手数料55円です。口座開設数が主要証券の中でトップであり、手数料も業界最安値水準となります。
CONNECT
。口座開設や取引がスマホで完結するので、誰でもすぐに始められるのです。証券口座と入金専用口座を同時開設でき、入金の反映もほとんどリアルタイムといえます。