今や世界一の高齢者国家 といわれ、人生100年時代を迎えた日本において、老後の生活資金確保の手段としてiDeCoが注目されています。
しかし、具体的にどのように運用したらよいのか分からず、お困りではありませんか?
この記事では、これからiDeCoを始める人を対象に「iDeCoとは何か」「iDeCoの節税メリット」「iDeCo口座を開設する金融機関を選ぶポイント」を解説しつつiDeCoで購入する「投資信託」ランキングやおすすめの運用法などについても紹介します。
ネット証券会社の特徴比較 iDeCoおすすめ度ランキング

まずはiDeCoの口座を開設するにあたって、ネット証券会社各社の特徴を見ていきましょう。
・SBI証券
SBI証券では、セレクトプランとオリジナルプランの二つのカテゴリーで75本の金融商品が選択可能です。いずれも比較的インデックス型ファンドの比重が高くなっています。
・楽天証券
楽天証券では、インデックス型17本、アクティブ型14本、元本確保型1本の合計32本の金融商品が選択可能です。100%米国株へ投資するETFインデックスファンドや、全世界株式インデックスファンドなど、米国株への投資ウェイトが高い商品などが選択可能です 。
・マネックス証券
マネックス証券の取扱い金融商品数は26本と少ないですが、東証株価指数と連動するインデックスファンドを取り扱うなど、比較的堅実なパフォーマンスを志向するポートフォリオを構成しています。また、信託報酬が低めに設定されている投資信託が多いのも魅力です 。
・松井証券
松井証券は40本の金融商品を取り扱っており、低コストの金融商品を幅広く取り揃えていることを売りにしています。国内外のREIT(不動産投資信託)や金(ゴールド)に投資するゴールドファンドも取り扱うなど、ユニークなポートフォリオ構成になっています 。
iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)の概要
そもそもiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)とは、国民年金基金連合会を実施主体とする確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金制度です。国民年金や厚生年金などの公的年金に上乗せする形で私的に運用し資産を形成します。基本的に20歳以上60歳未満の人が加入でき国民がより豊かな老後の生活を送るための資産形成方法の一つです 。
iDeCoという名称は、個人型確定拠出年金を意味する英語の「individual-type Defined Contribution pension plan」を語源としています 。加入者が運用する金融商品を自分で選択して毎月の掛け金を設定し積み立てていくことが特徴です。iDeCoを始めるためには、金融機関でiDeCoの口座を開設することが必要になります。
iDeCoの拠出限度額は、加入者区分によって異なるため注意が必要です。例えば自営業者や学生の場合は、毎月6万8,000円、公務員など共済加入者の場合、毎月1万2,000円が上限額となります。
会社員は、企業型DC拠出限度額などにより毎月1万2,000円、2万円、2万3,000円です。基本的に自営業者の拠出限度額が高く設定されています 。
iDeCoの3つの節税メリット
iDeCoは、大きく分けると以下の3つの節税メリットがあります。
・掛け金が全額所得控除
iDeCoで拠出した掛け金は全額所得控除の対象です。例えばiDeCoの毎月の掛け金が1万円の場合、所得税と住民税をそれぞれ10%とすると年間約2万4,000円程度税金が安くなります。
・運用益も非課税
iDeCoでは、運用益も非課税です。一般的に金融商品で発生した運用益は課税対象となりますがiDeCoでは非課税となり再投資することも可能です。
・受け取り時の節税メリット
iDeCoは、「年金」または「一時金」のいずれかの方法でお金を受け取ることが可能です。「年金」として受け取る場合は、公的年金控除の対象となり「一時金」として受け取る場合は退職所得控除の対象となります 。

銀行と証券会社のiDeCo口座 メリット・デメリット比較
多くの金融機関がiDeCoを取り扱っていますが、どのような点に注意して金融機関を選ぶべきでしょうか。以下に4つのポイントを挙げます。
・手数料
iDeCoは、加入時(金融機関での口座開設時)に手数料がかかります。「加入・移管時手数料」が2 ,829円、どこの金融機関でも同じ額です。また掛け金納付の都度、加入者手数料として毎月105円と事務委託先金融機関に支払う66 円が徴収されます。この金額も原則どこの金融機関でも同一です。
ただし一部、これらの手数料に毎月143~458円上乗せしている金融機関もあります。そのため毎月の金額は少額でも年間では1,716~5,496円といった差になるため、注意が必要です 。
・選択できる金融商品
iDeCoでは、加入者が金融機関の運用している金融商品を自分で選び資産形成を目指します。金融商品は、さまざまな種類があり各金融機関によって取り扱う商品が異なるのが特徴です。大きく分けると「元本確保型」「投資信託型」の2つとなります。元本確保型は、文字通り投資した金額の元本確保を目指す商品で定期預金や保険などが代表例です。
ただし「元本が保証されるもののリターンが少ない」というデメリットがあります。一方で投資信託は集めたお金を株式や債券などに投資しリターン獲得を目指すタイプの金融商品です。投資信託の投資先も「国内株」「外国株」「新興国」「先進国」など多岐にわたります。iDeCo以外で行う投資信託も同様ですが元本が保証される商品ではありません。
そのため運用結果によっては元本割れするリスクがあります。ただ中には高いリターンが期待できる商品もあり、その場合は加入者にも大きなメリットとなるでしょう 。いずれにせよ自分の運用目的と運用目標に照らし、その実現に最適な金融商品を提供している金融機関を選ぶ必要があります。
・投資信託の信託報酬
信託報酬の割合はファンドによって異なり運用額の0 .1~2.2%程度とさまざまです。信託報酬の金額はインターネットで公開されているため、金融商品を検証する際にしっかりと確認しましょう。
・サポート体制
iDeCoでは、自分の投資スタイルに合った金融商品を選ぶことになりますが、こうした商品選びが難しいと感じる人もいるでしょう。そのため、金融商品を選ぶ際に金融機関からアドバイスやコンサルティングなどのサポートが得られるかも重要なポイントの一つです。また電話によるサポートなどの有無も金融機関によってもまちまちです。
iDeCoに加入する場合、加入者によっては40年という長期間にわたり金融機関と付き合うことになるため、長いスパンで見て付き合いやすいところを選ぶことが大切といえるでしょう。
iDeCoの「投資信託」純資産増加額ランキング(集計期間:2019年12月27日~2020年12月29日)
iDeCoを取り扱う金融機関では「運用する金融商品が違う」「特に投資信託の内容と種類、さらには得られるリターンがさまざま」といったことを説明しました。投資信託に投資する場合は、ファンド情報の一つとなる「純資産増加額」を確認することが重要です。以下にiDeCoの投資信託純資産増加額ランキングをまとめました。(単位:いずれも百万円、純資産増加額は前月比と前年比)
1.三菱UFJ国際 eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
純資産額 | 228,605 |
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前月比 | +25,346 |
前年比 | +184,599 |
2.三菱UFJ国際 eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
純資産額 | 150,256 |
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前月比 | +9,003 |
前年比 | +75,316 |
3.ニッセイ ニッセイ外国株式インデックスファンド
純資産額 | 222,465 |
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前月比 | +8,958 |
前年比 | +69,323 |
4.フィデリティ フィデリティ・日本成長株・ファンド
純資産額 | 457,611 |
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前月比 | +7,955 |
前年比 | +53,993 |
5.セゾン セゾン資産形成の達人ファンド
純資産額 | 126,922 |
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前月比 | +5,759 |
前年比 | +35,446 |
6.セゾン セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド
純資産額 | 232,131 |
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前月比 | +4,457 |
前年比 | +32,249 |
7.三菱UFJ国際eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)
純資産額 | 72,002 |
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前月比 | +3,457 |
前年比 | +30,034 |
8.三菱UFJ国際 三菱UFJ 純金ファンド
純資産額 | 51,149 |
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前月比 | +8,337 |
前年比 | +27,742 |
9.三菱UFJ国際 eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)セレクトプラン対象
純資産額 | 36,535 |
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前月比 | +3,594 |
前年比 | +24,603 |
10.三菱UFJ国際 eMAXIS Slim 新興国株式インデックス
純資産額 | 44,666 |
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前月比 | +3,003 |
前年比 | +19,997 |
三菱UFJ国際投資信託の商品が6本もベスト10入りしています。中でも1位の商品は、純資産を前年から大きく増加しています。しかし投資信託のパフォーマンスは変化するため、現在好調だったとしても今後もかわらない保証はありません。投資信託のパフォーマンスは、長い投資スパンの中でも「一時的」なものであることを理解しておくことが必要です。
iDeCoの「投資信託」トータルリターンランキング(集計期間:2019年12月1日~2020年11月30日)
iDeCoにおける投資信託のトータルリターンのランキングを見てみましょう。(単位:百万円、トータルリターンは6ヵ月、1年、3年間での累計)
1.野村 野村リアルグロース・オープン(確定拠出年金向け)
基準価格 | 13,468 |
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6ヶ月 | 26.94% |
1年 | 25.36% |
3年 | -- |
2.キャピタル・インターナショナル キャピタル世界株式ファンド(DC年金用)オリジナルプラン対象
基準価格 | 19,390 |
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6ヶ月 | 25.88% |
1年 | 22.56% |
3年 | 11.84% |
3.レオス ひふみ年金
基準価格 | 18,227 |
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6ヶ月 | 20.30% |
1年 | 20.65% |
3年 | 6.35% |
4.フィデリティ フィデリティ・日本成長株・ファンド
基準価格 | 30,064 |
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6ヶ月 | 23.86% |
1年 | 19.63% |
3年 | 5.31% |
5.農林中金 農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね
基準価格 | 15,457 |
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6ヶ月 | 15.81% |
1年 | 15.87% |
3年 | 13.00% |
6.ニッセイ ニッセイ日経平均インデックスファンド
基準価格 | 16,527 |
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6ヶ月 | 21.71% |
1年 | 15.62% |
3年 | 7.18% |
7.ニッセイ DCニッセイ日経225インデックスファンドA
基準価格 | 17,209 |
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6ヶ月 | 21.70% |
1年 | 15.58% |
3年 | 7.16% |
8.スパークス・日本株式スチュワードシップ・ファンド
基準価格 | 16,298 |
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6ヶ月 | 17.57% |
1年 | 15.36% |
3年 | 4.29% |
9.三菱UFJ国際-三菱UFJ 純金ファンド
基準価格 | 16,021 |
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6ヶ月 | ▲1.22% |
1年 | 13.98% |
3年 | 7.16% |
10.セゾン-セゾン資産形成の達人ファンド
基準価格 | 26,534 |
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6ヶ月 | 20.15% |
1年 | 12.87% |
3年 | 7.57% |
純資産増加ベスト10とは、異なるファンドが目立ちます。トータルリターンで投資信託を評価する際は、できるだけ長期的なスパンでのパフォーマンスを評価し、ボラティリティ(価格変動の度合い)が低いものを選ぶことです。ただし現時点でのパフォーマンスが高いとからといっても今後もそれが継続するとは限りません。
iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)の開設方法

では、実際にiDeCoを始める際、どのように口座を開設するのでしょうか。SBI証券を例に見てみましょう。SBI証券の場合、SBI証券 のホームページから口座開設を申し込みます。ホームページで名前、生年月日、自宅住所、性別、電話番号、メールアドレスなどの情報を入力し送信すると加入者区分を選択するページへ移動します。
そこで自分の加入者区分を選択し個人情報取り扱い規定に同意する旨を選択すると、さらに別のページへ移動します。その後申し込みに必要な資料がSBI証券から送付されてくるため、書類に必要事項を記入かつ押印してSBI証券へ返送。返送した書類をもとにSBI証券は国民年金基金連合会で加入資格等の確認を行います。
確認手続きが終了するとSBI証券のiDeCoサイトへのログイン情報が記載された書類が発送され手続き完了です。あとは、送られてきたログイン情報に従いiDeCoサイトにログインするだけ。なお楽天証券や松井証券、マネックス証券などのネット証券に加えてメガバンクなど各種銀行のホームページでもiDeCo口座開設を申し込めます。
手続きの開始から完了までには、どの金融機関も大体1~2ヵ月程度かかるため、急いでいる人は早めに手続きしましょう。
※SBI証券に口座を持っている場合は入力作業を省略することが可能です。
すでにiDeCoの口座を持っているが、金融機関を乗り換えたい場合
すでにiDeCoの口座を持っている人が他の金融機関へ乗り換えたい場合はどうすればいいでしょうか。多くの金融機関がホームページで乗り換えを受け付けています。iDeCo口座開設時と同様、ホームページの指示に従って乗り換えを申し込めば口座開設と同様1~2ヵ月程度で手続きが完了。国民年金基金連合会での手続きなどは、すべて金融機関が行います。
そのため加入者が行う必要があるものは、金融機関から送られてくる書類への必要事項記入や本人確認書類の提出などを除いて、特にありません。
iDeCoを比較するなら、まずは資料請求を
冒頭でiDeCoでは「金融機関が提供している金融商品を選ぶことがポイントの一つ」「金融商品を選ぶのが多くの人にとって難しい」といったことを説明しました。金融商品を選ぶ際のポイントは、とにかく情報を集めることです。多くの金融機関は、自社が提供している金融商品に関する情報をインターネットで公開しています。
特に投資信託に関する情報は、インターネットにたくさん公開されているため、比較しながら自分に最も適した金融商品を選んでください。どうしても選択する金融商品が分からない場合は、まず金融機関に資料請求してみましょう。多くの金融機関が「商品ガイド」といった初心者向けの紙の資料を無料で提供しています。情報を広く集めて金融商品を選ぶ参考にしてください。